気持ちのお返し

おやき

2011年06月12日 06:07

きのうは3月の震災に絡んで、2件の心に響く出来事がありました。

そのひとつ。

3月の大地震で大きな被害に見舞われた長野県栄村。12日の発生から2週間ほど経過した頃、お店にお得意様がお見えになりました。

「おやき30個ほどいただいていいかしら?」

「ありがとうございます」

「これからね、実家へ行くのよ。わたしの実家はあの地震があった栄村なの。幸いにも実家は半壊で済んだけど、水回りが使えないって不便がっているから、おやきをお見舞いに届けようと思ってね」

と仰いました。

「大変不躾で申し訳ないんですが、おやきを栄村の方々に届けていただくことは可能ですか?」

キョトンとされているお客様に、自分ひとりでおやきを持っていってもどなたにお渡しするのがいいのかさえもわからず、お店を空けるわけにもいかない事情をお話しました。

「そういうことなら、遠慮なくいただいていきます。お気持ち本当にありがとうございます!」

と仰って、重たくて荷物になるおやきを届けてくださったのです。

当然その日に作ったおやきの量には限りがあって、気持ちはあれどそんなにたくさんのおやきはお渡しできませんでした。

それから数日後、そのお得意様からお葉書をいただきました。

ご実家やご近所の方も大変喜ばれたということで、お礼の葉書でした。

その葉書をいただいただけで、感謝していたのです。

ところがきのう、そのお客様が手に袋を抱えてご来店くださって、

「これ、栄村からです」と袋を差し出しました。



「栄村で採れた山菜です。先日のおやきのお礼です」

「とんでもない!いただけないです。お礼の葉書もいただいていますし、お返しなんてほんとに結構ですから。そういうつもりで・・・」

「いいえ、ただのお返しではありません。栄村の人たちの気持ちのお返しですから、受け取ってください。村で採れるものですから、お金はかかってませんよ」

「ありがとうございます!それでは遠慮なくいただきます」

とってもじ~んときた「気持ちのお返し」という言葉。

わたしの気持ちが届いて気持ちのお返しが返ってきたんだ、と思ったら、心がとても温かくなりました

「おやき」は信州のスローフードです。
「ふきっ子のお八起」HP→http://www.fukikko-oyaki.com/

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