10年
きのうは母の「乳がん検診」の日で、母は早朝の新幹線に乗って築地のがんセンターへ行く予定だった。
いつもどおり4時半に朝食。
食事の後、わたしが洗面台にいると、母がごそごそと蒸し器に水を張っている。
どうやらもち米を前夜仕込んでいたらしい。
「あと1時間でタクシーが来るのに、今から何を始めるの? たかこ(東京にいる妹)にお赤飯でも持っていくの?」
しばらく沈黙の後、
「きょうは乳がんの手術から10年経った最後の検診だよ。たぶん無罪放免だね。それなのに、誰もお祝いしてくれないから、自分でお赤飯炊くの!」
と言われてしまって、ただただ無言のわたし
それから母はバタバタとお赤飯を蒸かし、パックに詰めて、たかこの分、母の友人の分、加えて主治医の女先生の分まで持って、出掛けていった。(他にも、うちのスタッフの分、姉の分も置いて)
母の言葉の重みをズッシリと感じながら仕事をした一日。
母にとってこの10年はとてもとても長かったに違いない。再発の恐怖に怯えながら、1年、3年、5年、10年と月日を刻んでいったのだろう。
改めて夕飯時、「お母さん、おめでとう~!」と乾杯のグラスを傾けた。
(姉に用意していった「赤飯弁当」です)
「おやき」は信州のスローフードです。
「ふきっ子のお八起」HP→http://www.fukikko-oyaki.com/
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