母の一句
きのうの午後、本店にお越しいただいたお客様。
やりとりしていると「お母さんはお元気?」と聞かれ、思わず「ハイッ!お蔭様で」
「そう、それはよかったわ。わたしはね、うちの息子がお宅の一番下の妹さんと同級生で、それでお母さんとも何回かお話ししたことがあるんですよ」と仰る。
「そうですか、それじゃあ随分昔から母のことはご存じなんですね」
「そうなんです。最初にお話ししたのは<おやき教室>をお願いした時かしら。気持ちよく引き受けてくださって」
「教室、楽しかったですか?」
「ええ、ええ、教え方も上手だったけれど、わたしは今でも忘れられないの。あの当時、俳句を習っているとかで
『なすおやき 好きな夫の ために焼く』っていう句を披露してくれたの。ほんとによくできた句で、みんなでいいねって言ってね」
へぇ~っ、と感心したわたし。
そうなんです、母は生まれが昔の小県郡塩田町。上田は蒸かしおやきが主流だから、焼き蒸かしタイプの難しい包み方はやったことがなかったのですが、嫁いだ先が篠ノ井塩崎で焼き蒸かしのメッカとも言われている地域。
おまけに父は大の粉物好きで、毎日おやきでもいいっていう人。
だから、母は必死で水分量が多い生地と格闘して、丸なすのおやきを作れるようになったのです。
まさしく「好きな夫」のためでなくては作れないほどのおやきをモノにした、そんな自慢もチラホラと垣間見れる句です。
きのうは思いがけず、母が父と共に歩んできた人生に思いを馳せる一句に出会いました。
ちなみに、その当時は俳句を習っていた母ですが、今は川柳に生きてます
「おやき」は信州のスローフードです。
「ふきっ子のお八起」HP→http://www.fukikko-oyaki.com/
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