母の昔話(その2)
きのう夕食の後、母と話をしながらボ~ッと自分の両手を広げて手相を見ていたら、母が「あんたの手はおばあちゃんそっくりだねぇ」と言う。
わたし「へぇ~、おばあちゃんってこういう手だったの?」
母「そう、お母さんみたいにこんなゴッツイ手じゃなくて細い指してた」(決してわたしの指ではなく、おばあちゃんの指のことですから)
わたし「ふぅ~ん、農家の嫁だったのにそんなに細かったんだ」
母「そう、それに<かけっこ>もすご~く早かったんだって」
わたし「おばあちゃんが子どもの頃?」
母(それには答えず)「小学校4年の時の運動会で<親子リレー>があったんだよ。」
わたし「そんな昔から親子リレーなんてあったんだ」
母「そう、それにおばあちゃんと一緒に出て走ったんだよ。他の子は親を引っ張って走っていくのに、うちは、おばあちゃんが必死の形相で『富貴子(母の名)早く、早く!』っておばあちゃんがお母さんの手を引っ張って走ってくから、回りは可笑しくて可笑しくて笑いっぱなしだったよ」
わたし「あははっ、想像したら可笑しい!」
母「引っ張っていくなんて生易しいもんじゃなくて、引きずっていかれたんだよ。ズリズリって。それでも負けたって言って本当に悔しがってたからね、おばあちゃんは」
わたし「お母さんは足が遅かったんだ」
母「そう、おじいちゃん譲りだったんかね。運動会終わってから家に帰ってきて『ほんとに恥ずかしい。富貴子!お前の足が遅いからだ!』って怒鳴られたけど、自分が生んだ子じゃない、ねぇ?」
わたし「あははっ、可笑しすぎる。おばあちゃんって超自分勝手だわ」
母「そうだよ、超スパルタだったんだから。おじちゃんやおばちゃんの先生のところへ行って、成績を聞いたり、勉強の仕方を指導してもらったり。でもね、貧乏だったからお母さんには『富貴子は長女だから、勉強ができなくてもいいから、親の手伝いをしておくれ』って言われてた。だからお母さんはバカなんだよ」
って。
昔にしては自分を押し通して負けず嫌い、そして超スパルタな女性だったおばあちゃん。
そして、勉強よりも家事・育児を手伝わされた母はそのことを恨みもせずに、でも少しばかりの負い目を感じながら、いまだに辞書を片手に川柳を詠んでいる。
母はそっくりそのまま祖母の血を引いている。負けず嫌いの性格とその頭脳と。
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