母の落ち込み
きのうの朝、母は「今夜は〇〇クラブの新年会で遅いから、夕食はひとりで食べてね」と言って送り出してくれた。
そしてお昼ちょっと前。母が店におにぎりを届けてくれたと、スタッフが荷物を持って厨房へ入ってきた。
「どうして?きょうは出かけるから忙しいはずなのに」とわたし。
「あっ、ヨウコさんに伝えておいてくださいって、お母さんが。今夜って言っていた新年会はきのうの夜だったから、今夜は家で夕食作って待ってますって。」とスタッフ。
「エエッー??きのうだったの?新年会???」
「そうみたいですよ」
「そりゃ、お母さん落ち込んでるわ。可哀想に」と思わず言ってしまった。
川柳の会であっちこっち出歩いている母だが、〇〇クラブは母にとっては1ランク上の社交場だ。その会合へ出かける時は川柳と違ったシャキ感があって、一回り以上若く見える。
母にとっては、現役社会へ繋がっている唯一のステージなのかもしれない。
だからこそ新年会だからと前日にパーマをかけ、1週間以上も前に着ていく洋服も新調した。
それなのに、日にちを間違えた
夜、家に戻って「残念だったね、きょうは」と言うと、
「手帳にもちゃんと今夜って書いてあったの。でもね、事務局の都合で日にちが変更になったんだって。通知は出してあるって言ってたけど、せめて前日に電話一本くれたってねぇ」と母はかなりの落ち込み。
「事務局も忙しかったんだろうけど、年配の人には念のため電話連絡してくれてもいいじゃないねぇ」とフォロー。
「仕方ないよ。せっかくお髪もきれいにしたし、洋服も買ったのに。全部バカみたい」と自虐的。
表面は明るく振舞っていても、母の落ち込みは相当なもので、夕食時も言葉少なく、すぐに「寝るよ」と言って部屋に入ってしまった。
高齢者はわたしたちが思う以上に、現役社会と繋がっていたいと願っている。高齢者同士が仲良くグループを作っていても、それは一種社会と隔絶された世界。
現役社会で自分がまだまだイケルと思って欲しいから、存在感もアピールする(だから洋服や髪も)。
一種滑稽かもしれないけれど、精一杯背伸びして現役のつもりでいるのだ。
そういう思いを汲んで、事務局の方にももう少し気遣いが欲しかったなと残念に思った夜だった。
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