ブイヨン

おやき

2014年03月08日 06:03

きのうはJA佐久浅間女性会での講演でした。タイトルは、「郷土食の伝承」~まず家庭から手作りを~ と題してお話しさせていただきました。

佐久はあまりおやき文化がない地域ですが、皆さん大変真剣ニ耳を傾けてくださって、本当に感謝でした。

その中で、ふきっ子で使用している調味料のお話をさせていただいた時に、皆さんが一番ビックリされたのが「ブイヨン」でした。

きょうはそのブイヨンのお話しを少し。

実はつい最近まで、中華味や洋風のおやきには無添加コンソメを使っていました。ご存じのように無添加コンソメは決して安いものではありません。業務用でも化学調味料入りコンソメの3倍の価格です。

無添加だから良しとして安易に使っていることに少し抵抗がありながら、ついついコンソメに頼った味付けをしていたのです。心の中では無添加といってもエキスの塊なんだけど、とわかっていながらです。

そしてそんなある日、わたしの友人が来店しました。有機野菜を栽培している農業人で、女性ながらスタッフを数名使って農園を経営していて、食に関してもかなりハードルが高い彼女です。その彼女が、ランチ用に作ったピラフを一口食べて「不思議な味がするけど、コンソメの味?」と聞きました。一瞬ドキッとしながらも「そう、コンソメ。でも無添加だけど」と言ったら、「野菜の味が死んでる」と。

確かにその日のピラフにはコンソメを使いすぎたキライがありました。でも、彼女の言いたいことはそういうことではないことを自分自身が一番よくわかっていました。

それからです。自分で鶏がらからブイヨンを引き始めました。そうしてわかったことは、コンソメでマスキングされてしまっていた野菜本来の味がきちんと醸し出されるようになったことでした。

この出来事は本当につい最近のことです。でもこのことがわたしに目を覚まさせてくれるきっかけになりました。本当の味って何だろう、って真剣に考えるようになりました。食材が持つそのものの味を殺さない、そのことがイコール食材の命をいただく感謝の気持ちなんだと思います。

現代の食生活はともすれば安くて簡単が好まれますが、こんな風にバカみたいに手間と愛情をかけるおやき屋があってもいいんじゃないかと思います。それが家庭に一番近い距離にいるおやき屋の使命とも言えます。


という話に皆さんが「そこまで~!」ってビックリされたわけです。

これが煮詰める前の鍋。ここからダブルで(一回鶏がらと香味野菜を取り出して、もう一度手羽先、挽肉と香味野菜を入れてます)煮詰めていきます。



そして、出来上がりがこちら↓ 完璧なゼラチン状のブイヨン(コンソメに近いです)の出来上がり~♪



洋風や中華風の味付けにはやはりコクが欲しい。辿り着いたブイヨンは手間がかかるけれど、愛着が湧く、わたしにとっては「おいしいゼリー」です。


「おやき」は信州のスローフードです。
「ふきっ子のお八起」HP→http://www.fukikko-oyaki.com/

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